
目指せ時間持ち!時間あたりの密度を高め「時間価値の高い人」になる方法とは
栄養ドリンクのCMで「24時間働けますか?」と謳われたバブル時代は今は昔。
現代は、「仕事量を増やして給料を上げる」よりも、「仕事の質や密度を高めて成果を出す」ことの方に価値を感じる人が多い世の中になっています。
これはつまり、時間あたりの密度を濃くして「時間価値」を高くすることの重要性が増しているということです。そこでこの記事では、時間の密度を高め、「時間価値の高い人」になるための方法を考えていきます。
ホリエモンこと堀江貴文さんは「電話に出ない」ことで有名です。これは集中力や時間を奪われることを防ぎ、本質的な仕事に力を注ぐことで、自らの時間価値をさらに高めるための方策だと言えます。
より密度の濃い時間をつくりたい人、自分の仕事を時給換算すると低いなと感じている人などはぜひご一読ください。
時間価値の高いアウトプットとは?

世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏は、
「『価格』とは、何かを買うときに支払うもの。『価値』とは、何かを買うときに手に入れるもの」
と言っています。
人は、価格に見合わない価値のものにお金を払うとき、「損をした」と失望したり怒りを覚えたりします。たとえば高級レストランに行って、自宅でもつくれそうなものが出てきたら、「こんなものに高いお金を払うなんて損だ」と思うはずです。逆に、「こんな美味しいものがこんな価格で!?」と思うものに出会うこともあるでしょう。
これが「価格」と「価値」の違いです。
すなわち、「こんな有益な(質の高い)ものがこんな価格で!?」と相手に思われることが、「価値の高い仕事」となります。
さらにそこに、「時間あたりの」という要件が加わると、「時間価値が高い」ということになります。
たとえば、「15秒×無料なのに有益、面白い!」と思われるTikTokやYouTube shortsは、視聴者に大きな価値を与える時間価値の高いアウトプットです。
一方、無料であっても、時間を浪費させられるような広告は無益。そのため、課金してでもサービス内の広告を排除するという行動は、時間価値を重視する現代人には珍しくありません。
「時給」にだまされてはいけない
時間価値を高める上では、今現在にある見かけの時給額にだまされてはいけません。
たとえば、
週5日(月20日)、1日8時間勤務で月給が30万円だとすると、
30万円/160時間=1,875円
があなたの時給となります。
ですが、これは本当の時給を示してはいません。通勤時間や家を出るまでの身支度の時間も合わせて総量で考えてみることが大事です。

たとえば、
週5日(月20日)、1日8時間勤務で月給が30万円、
拘束時間としてお昼休憩1時間、通勤に往復2時間、身支度に30分とすると、
1日あたり11時間30分を仕事に割いていることになります。
交通費支給などはいったん置いておいて、単純計算すると
30万円/230時間=1,304円となります。
東京都の最低賃金1041円(2021年改定)にかなり近づいてしまいましたね。。
また、さらに考えたいのが、今現在の時給だけでなく、「将来価値」まで含めた利益です。
今の時給が低くても、将来的に飛躍する可能性があるのならその時間価値は高いと言えるでしょう。逆に今の時給が高かったとしても、将来的にそのスキルや職業の価値がシュリンク(縮小)していくなら、長期的には時間価値が高いと言い難い部分があります。
短期目線しか持っていないと、長期的に得られる利益まで失ってしまうことになるのです。時給計算は今の仕事の価値が分かりやすい分、こうした落とし穴も潜んでいるので注意してくださいね。
収入と時間のマトリクスで時間価値を考える
現代の職業人は収入と時間の2軸で考えると次の4つにカテゴライズできます。

※『時間資本主義の時代 あなたの時間価値はどこまで高められるか?』(日本経済新聞出版)からの引用
伝統的なエリート
「お金はあるけど時間がない」層。給料は高いものの、労働時間が長い傾向。大企業の管理職やコンサルティングファーム、官僚などが該当。
まじめ貧乏(特に時間価値が低い)
「お金も時間もない」層。労働時間が長いわりに給料が低い傾向。
クリエイティブ・クラス(特に時間価値が高い)
「お金も時間もある」層。集中して成果を出し、ゆとりある時間を過ごすことで結果的にさらなる創造につながっている。いわゆる時間価値が高い人たち。有名なクリエイターやベンチャー企業経営者が該当。
終わりなき日常を生き続ける人たち
「お金はないけど時間はある」層。低収入でも自分たちなりにゆったりした生活を送っている。フリーターが該当。
左側の2タイプに共通するのは、「真面目に努力することができること」。また、他者との比較の中で生きていることも特徴です。
右側の2タイプの生き方はいわゆる「真面目な努力」には見えないかもしれません。ただ、他者との比較にあまり関心がなく、自分のために多くの時間を使える人たちであるため、全体的な幸福度としては高め。
これまでの日本では、左上の「伝統的エリート」が圧倒的に勝ち組意識を持っていましたが、時代の変化によって、その価値観も変化しつつあります。現代は、右側の人たちに憧れを持つ人も多いのではないでしょうか。
人々が目指す世界が「お金持ち」から「時間持ち」へと変化しているのです。
時間価値を高める方向性
あなた自身が「時間価値を高める」方向性は3つあります。
① 「自由に使える時間」を増やす
② 「必ずしも必要でないことに費やしていた時間」を減らす
③ 「時間あたりの密度」を濃くする
これらのどれかに当てはまるように行動をチューニングしていくことで、時間価値を高めることができるでしょう。
このうち以下の2点は、今の自分の時間配分を把握することで調整可能です。
① 「自由に使える時間」を増やす
② 「必ずしも必要でないことに費やしていた時間」を減らす
テスラやスペースXの創業者、イーロン・マスク氏は、「15分間でメール対応、5分休憩後、20分間ミーティング」などのようにスケジュールを5分単位で管理しています。
ドラゴンボールの作者、鳥山明氏は、背景となる都市の建物をあえて破壊した状態で戦闘をはじめる展開を多用しました。これは敵の残忍さを表現するだけでなく、背景の描画にかけるマンガ家の労力を減らし、生産性を高めるという目的もあったようです。
このように、時間配分の把握とコントロールについては、多くの成功者が実践しています。
さらにここで大事なのは③「時間あたりの密度」を濃くする をどう実現するか。
時間あたりの密度を濃くする方法

シンプルに言うなら、「焦点を絞り、自分の時間を差し出すこと」です。
はじめから時間価値の高い人などいません。今、高い時間価値を発揮している人は、必ず過去に「時間と労力を投資した経験」を持っています。何も工夫しなければ、時間価値が上がることはないのです。
時間価値を高めるには、まず自分の時間を集中的に差し出さなければならないと考えましょう。
「1万時間ルール」というものがあります。「ある分野のプロやエキスパートと呼ばれる人材になるには1万時間以上の実践や練習が必要だ」という理論です。イギリスのマルコム・グラッドウェルという新聞記者が提唱しました。
この理論には反対意見もありますが、「何かに熟練するためには膨大な時間が必要だ」ということは、誰もが体感的に理解していると思います。まさにドラゴンボールでいう、「精神と時の部屋」です。
毎日500回の素振りをする野球選手、毎日16時間マンガを描き続けた漫画家、毎日業務時間外で5時間をスキルアップの勉強に費やしている人などの例を見ると、このような“修行の時間”が、時間価値を最大化させるのだろうと考えることができます。
あなたは今の生活の中で、時間価値を高めるために何にどのくらいの時間を投資できるでしょうか?
時間価値の高い人になるためには?
この記事では、価格と価値の違いから始まり、「時間価値が高い」とはどういうことか、時給計算の落とし穴、収入と時間の4分類、そして時間価値を高める方法として時間あたりの密度を濃くするプロセスを紹介しました。
テクノロジーの進化によって、仕事やコミュニケーションの大幅な効率化が可能となった現代、スキマ時間でも密度を濃くすれば大きな価値を発揮することができます。
長期的な時間価値を高めるにはある程度時間をかける必要があるので、その道のりは平坦ではありませんが、まずは自分の時間価値を把握することから始めてみましょう。
参考書籍
その他の時間価値特集
#0 時間価値とは|変わりゆく時間価値と「働き方・生き方」の関係を考える
#1 目指せ時間持ち!時間あたりの密度を高め「時間価値の高い人」になる方法とは
#2 「コスパ」から「タイパ」へ?求められるタイパ最大化と「豊かな時間の過ごし方」
#3 スキマ時間を活用!現代人にスキルシェアが支持される背景と活用法を解説
#4 時間価値を高めるカギは、「ワークとライフの融合」にあり。その背景と注意点とは?