
あなたは理解してる?情報共有で大切な「フロー型」と「ストック型」
ビジネスでの情報共有やコミュニケーションを円滑かつ快適に行うためには、フロー型とストック型を意識することが重要です。
オンラインでの仕事が当たり前になった現代では、情報を上手に取捨選択していく必要があります。
フロー型とストック型のメリット・デメリットや、それぞれのツール例を解説します。
「フロー型」と「ストック型」とは?
「流れる」の意味を持つフロー型と、「蓄積する」のストック型。
使いこなす第一歩は、両者の特徴をしっかり理解すること。そのうえで、適切に自分や組織の業務に落とし込むことが大切です。
まず、「フロー型情報」とはメールやSlackなどチャットのメッセージのようなリアルタイムでのコミュニケーションを指し、過去の情報が流れていくもののこと。
それに対して顧客のデータや企画書など、蓄積されていく情報を「ストック型情報」といいます。
後で見返したい重要な情報もあれば、円滑に業務を進めるために時間とともに流れるべき情報もあるでしょう。どちらも仕事を進めるうえでは欠かすことのできないものです。
フロー型情報共有のメリット・デメリット
情報を流すことでコミュニケーションを円滑に進められる一方、デメリットもあります。
メリット1:情報がすぐに伝わる
伝えたい情報をすぐに相手に伝えられるため、スピーディなやり取りが可能です。
アイデア出しやブレインストーミングといった、意見が活発に交わされる場のやり取りにも役立ちます。
メリット2:気軽に情報を発信できる
すべてが重要な情報である必要がないために、気軽に発信することができるでしょう。
例えば、チャットツールでの雑談やアイスブレイクなどがあります。
デメリット1:過去の情報を探すのに時間がかかる
最新情報が次から次へと流れていくため、特定の過去の事項を見たいときは探し出すのに多くの時間を要してしまいます。
デメリット2:重要な情報を見逃す可能性がある
情報の流れるスピードが早いため共有された重要な知らせやタスク依頼など、大切な情報が埋もれてしまう可能性があります。
このように情報伝達の速さや気軽さが魅力な分、過去の情報をさかのぼる大変さがあります。
ストック型情報共有のメリット・デメリット
次に、ストック型情報共有のメリット・デメリットを確認しましょう。
今後に役立つ情報や後で見返したい大事な内容を記載できるため、チーム内にノウハウが蓄積されます。
過去の業務内容やプロジェクトをすぐに見返すことができるので、次回の業務改善につながるでしょう。
メリット2:業務の属人化を防げる
ログとして情報が残り、誰が見返しても内容が把握できるために、業務の属人化防止の一環になります。
急な欠員が出たとしてもストックされた情報を見返せば、スムーズに進められるでしょう。
デメリット1:誰が見ても分かる内容にする必要がある
未来に残り続けるため誰が見てもすぐに理解できる必要があり、内容の質が問われます。
自分だけが理解できるのは当然で、ひと目で万人に分かるようなレイアウトや構成にすることが重要です。
デメリット2:作成に時間がかかる
内容の分かりやすさが問われるため、慣れていないと作成に時間がかかる場合があります。
目的や用途に合ったストック型の情報共有ツールを使用すれば、ユーザーの手間を減らす機能があったり豊富なテンプレートから選択できるため、作成にかかる時間が削減されるでしょう。
フロー型、ストック型情報共有のメリット・デメリットまとめ
まとめると以下の様な違いがあります。
| フロー型 | ストック型 |
---|---|---|
メリット | ・情報がすぐに伝わる | ・チーム内にノウハウが蓄積される |
デメリット | ・過去の情報を探すのに時間がかかる | ・誰が見ても分かる内容にする必要がある |
フロー型情報共有ツールの例
新しい情報が次々に流れていくコミュニケーションスタイルが、フロー型情報共有ツールの特徴。
ここで紹介するものは、メッセージのやり取りのほかにファイルの共有のほか音声・ビデオ通話もできます。
主なツール例を確認していきましょう。
Slack
Slack Technology社によって2013年に導入されたコミュニケーションチャットツールです。
複数人でメッセージを送りたい場合には「チャンネル」と呼ばれるスペースを使用して、参加者に向けてコミュニケーションを取ります。
メッセージには、自分で作ったオリジナルのものやその他豊富な種類のスタンプから既読の旨を伝えられます。
Chatwork
2011年にChatwork株式会社がリリースした、ビジネス用のチャットツールです。
複数人を招待してグループチャットを作成しコミュニケーションを行います。
また、メッセージを確認したらリアクション機能で既読したことを6種類のスタンプの中から表せます。
Microsoft Teams
2017年にMicrosoftによってリリースされたコミュニケーションツールです。
複数メンバーで構成した「チーム」のなかに、課題やプロジェクトで構成される「チャネル」という小単位のグループを作ってやり取りができます。
スタンプで感情表現や既読の旨を素早く伝えられるほか、GIFアニメーションを送付できる機能もあります。
メール
グループを作りそのなかでコミュニケーションを取るチャットツールと異なり、メールは案件ごとに宛先を設定してメッセージを作成します。
そのため送受信したメールは、案件ごとに情報が蓄積されていきます。
ストック型情報共有ツールの例
情報の一元化が目的であり、ひとつの場所に集約させることで情報の分散を防げます。
また、情報をビジュアル化することで感覚的に分かりやすく理解できるようになることもメリットです。
ここでは、ストック型の情報共有ツールを確認していきましょう。
Notion
Notion Labs Inc.によって開発されたデータ管理ツールです。
Wikiや、タスク・スケジュール・プロジェクト管理・メモなどさまざまな用途で活用し、ユーザーが自由な発想で感覚的に情報を編集・整理できます。
例えばプロジェクト目標の下にスケジュール表を設置したり、業務の進捗状況の下にメンバーが反省点や気付きなどのコメントを残せる機能をつけたりと、メンバーが必要な情報を見やすい形にデザインでき、いつでも見たいもの見に行くことができます。
esa
合同会社esaによって開発され、チャットのようなリアルタイムの情報共有を行いながら、Wikiのように情報を保管できたり記事管理も行えるツールです。
記事は、日付が入力されていないものはストック型の情報として扱われ、 記載されているときはフロー型の情報として自動的に振り分けられます。
また、社内Wikiとして活用する場合はタイトルにスラッシュを入れると、分類分けが可能です。
Kibela
2017年に株式会社ビットジャーニーがリリースした情報共有ツールです。無駄を省いたデザインにより、ITリテラシーの有無を問わず感覚的に活用することができます。
動画・画像・Excel・Googleスプレッドシートなどを簡単にインポートしたり、コメントで議論することも可能です。また、多要素認証や4段階のユーザー権限があるなど、高度なセキュリティ対策がされています。
柔軟なコミュニケーションと強固な情報管理が可能となり、情報を安心してストックすることができます。
Google ドライブ
2012年にリリースされた無料オンラインストレージサービスです。
ドキュメント・スプレッドシート・ファイルなど、自分専用のドライブに格納することができるほか、複数人での共有保存もしておけます。
また、過去に保存したものはいつでも編集が可能で、検索も容易です。
タスク管理も「フロー型」と「ストック型」を意識しよう
フロー型とストック型、ひとえに情報共有といっても特徴や用途は異なります。
同様にタスク管理も両者の違いを認識して使い分けることが大切。
例えば、チャット・メール・口頭で伝えられた依頼はそのままだとフロー型で管理するタスクであり、タスク管理ツールでされた依頼はストック型での管理といえます。
フロー型で依頼されたものでもすぐに取り組む必要のない作業は、ストック型に変更することで取りこぼしを防ぎましょう。
フロー型ツールのタスクをストック型に変える方法
お願いされた仕事を覚えておきたいときや後から見返したかったり気になった情報など、大切な情報をストック型に置き換えることで忘れてしまうことを防ぐことができます。
ここでは、フロー型ツールのタスクをストック型で管理する方法を、著名ツールを例にして確認しましょう。
「Slack」のブックマーク
保管しておきたいメッセージはブックマークをつけることで、必要なときに常時見返せるようになります。
チェックしたメッセージはブックマークタグから一覧で表示されるため、見返したい情報をすぐに探し出せるでしょう。
また、チェックしたものは自分自身にだけ表示されるため、気兼ねなく大切な情報をストックできます。
「Chatwork」のタスク or ブックマーク
チャットで流れてきた情報をストック型として扱う方法に「タスク」と「ブックマーク」機能があります。
「タスク機能」では、メッセージとは別枠で自分自身が覚えておきたい仕事を記入したり、また担当者の指名や期限を設定して相手に依頼することができます。
また、完了した仕事は過去に行ったタスクとしてデータベースに保管されるため、後から見返すことも可能です。
「ブックマーク機能」では、保管しておきたいメッセージにブックマークをつけて後から参照できます。
「Microsoft Teams」のブックマーク
送受信したすべてのメッセージについて、保存しておきたいものをブックマークすることができます。
ブックマークしたメッセージは、保存済みのタブからメッセージを一覧で見ることが可能です。
「Gmail」のスター(お気に入り)
ストックしておきたいメールに「スター(お気に入り)」を設定できる機能があります。
お気に入りを設定したメールは、差出人・期間・添付ファイルの有無・宛先で絞り検索ができます。
ストック型タスク管理ツール例
次に、ストック型タスク管理ツールの例を確認していきましょう。
実際に試してみて、使いやすいものを見つけてください。
Notion
自分自身で自由にフォーマットの作成ができるため、好きな形式でタスク管理ができます。
カレンダー・カンバン・テーブルは、特に適している表示形式です。
例えばテーブルを設置したときは、タスク名・作業ファイル・開始日・完了日などを記入すれば簡易的な管理表が完成します。
Asana
Asana,Incが2012年にリリースした、プロジェクト・スケジュール・タスク管理のためのアプリ。「リストビュー」「タイムライン」「ボード」で構成されています。
豊富な状況別のテンプレートを使用して見やすくタスク管理を進めていけば、企業の情報管理がすべてAsanaで完結できるでしょう。
蓄積した過去の情報やノウハウがシーン別で見返せるので便利です。
Jira
2004年にアトラシアン社によって開発された、課題とプロジェクトを管理するツール。スクラムボード・カンバンボードの2種類によって構成されます。
例えば、カンバンボードでは縦に並んだカンバンひとつひとつに完了するまでに行う作業を記入することでフローを可視化します。
そして、コントロールチャートや累積フロー図によって振り返りや分析も可能です。
Trello
タスクやプロジェクトを管理できるツールです。
「ボード」「リスト」「カード」を使用して、タスクの進捗を感覚的に理解できます。
タスクを記入するカードには、メンバー・期限・チェックリストといったさまざまな項目を設定でき、ひと目で内容が分かります。
フロー型とストック型を使い分けよう
両者の違いとメリット・デメリット、それぞれのツール例をご紹介しました。
重要なのはフロー型とストック型の特徴を理解して、業務が改善されるように組み込むことです。
ツールはさまざまなものがあるので、合うものを試しながらベストの選択を目指してください。