
フリーランスのチーム化|注意点と用意すべきツールとは
「個の時代」と言われる中で、組織に所属することなく働くフリーランス人口が増加しています。個人で仕事ができることにはメリットは多いですが、最近ではフリーランス同士でチームを組んだり、企業や地方自治体がフリーランス人材を集めてプロジェクトを推進したりするケースも出てきています。
この記事では、フリーランスのチーム化において注意すべき点や用意すべきツールについて解説していきます。
チームを組むフリーランスが増えている理由
フリーランスの人口が増えていく中で、チームを組むフリーランスが増えています。そこには、社会の環境変化、企業側の理由、個々人の事情など、様々な背景があります。
フリーランス人口の増加
2021年11月にランサーズが発表した「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、2021年10月時点で国内のフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円となっています。
1,500万人と聞くと実感値よりも多いと感じられるかもしれませんが、調査によれば、そのうち約半数が副業すきまワーカーやパラレルワークをする人。それでも、会社員以外の働き方を実践し、複数の収入源を持つ人がこれだけ増えているのです。
2020年1月の調査ではフリーランス人口は1,062万人、経済規模は17.6兆円だったことを踏まえると、コロナ禍がフリーランス市場の拡大に大きな影響を与えていることがわかります。コロナ禍でフリーランスになった人の背景には、リモートワークが一般化したことで時間的なゆとりが生まれた人もいれば、会社の将来に不安を感じ、会社に依存しない生き方を実行に移し始めた人もいるでしょう。
そして、社会的な事情も、フリーランスの増加につながっていると言えます。
企業の人材不足
社会的な事情の1つが、企業の人材不足です。人材不足となる大きな要因は、企業に余裕がないこと。正社員雇用するほどの経済的余裕や、未経験者を育成していくほどの時間的余裕が不足しているのです。
そのため、雇用の必要がなく、プロとして自立しているフリーランスが求められる傾向が強まっています。企業は「従業員として雇用するよりも、フリーランスにアウトソーシングした方が最終的にコストパフォーマンスは大きい」と考えます。
以前であれば、アウトソーシング先は企業体でないと信用の問題があり、個人(フリーランス)には任せられないと考えていた企業も、様々なツールの拡充により依頼しやすくなってきているという部分もあるでしょう。
このような社会的背景から、企業だけでなく地方自治体もフリーランスを活用するところが増えています。
流動的な事業への対応
めまぐるしく状況が変わる中では、事業や組織の形も柔軟に変化できる状態でなければなりません。特にコロナ禍において、それを痛感した企業は多かったはずです。
昨今は、「プロジェクト型」の仕事が増えています。中短期の取り組みを「プロジェクト」として立て、そこに必要な人材を必要な分だけその都度集めて、プロジェクトのゴールを迎えたら解散するというスタイルです。
プロジェクト型であれば、人を新たに雇用するほど長期ではないため、フリーランス人材が求められます。フリーランスを活用する利点は、社内よりも多職種を迅速に集められる点や、報酬=成果であるフリーランスはプロ意識が高いことが多い点など。今後も、フリーランス需要は高まっていくと考えられます。
フリーランス目線で言えば、異なる特性・スキルを持つ他職種フリーランスとチームを組むことで、仕事の幅が広がるというメリットがあります。
参入障壁の低さ
参入障壁の低さもフリーランスが増加していることの1つの要因です。フリーランスは自分の体1つ、頭1つで始める人が多く、固定費がほとんどかかりません。
また、SNSやオンラインプラットフォームの普及・定着により、探せばすぐに仕事を見つけられる環境ができてきており、参入障壁は限りなく低くなったと言えます。
フリーランスがチームを組む際の注意点

フリーランスがチームを組む際は、注意点があります。フリーランスにはフリーランスならではのマインドや働き方があるため、要所をしっかり押さえてチームをつくっていく必要があります。
インセンティブ設計がなされているか
フリーランスは雇用契約ではないので、チームになるときの設計が大事になります。
まずは、そのプロジェクトに参加する納得感があるかどうか。働き方の柔軟性はどうか、どのくらいの報酬があるのか、業務範囲や業務量は自分に合っているか。そして、プロジェクトがゴールに達したときに得られるもの(金銭でもそれ以外でも)は何か。
このインセンティブ設計が肝となりますので、しっかりすり合わせておきましょう。
チームの目的を共有できているか
フリーランスに限らず、目的の共有は業務への動機づけにおいて重要です。特にフリーランスは「やりたくない仕事はやらない」という選択をするケースが多いもの。
目的を明確にして、それをチームメンバーで必ず共有することが大切です。「目的は明確なものの、お題目化していて腹落ちしていない」というケースもありがち。
目的や目標を「掲げる」だけでなく、メンバー同士のコミュニケーションによってそれを深めていくことも大事にしたいところです。
ポジションの被りを避ける
フリーランスのチーム化のメリットは、「苦手なことは人に任せる」ができるところ。
例えばWebメディア運営であれば
企画・構成
デザイン
ライティング
編集
マーケティング/分析
など、それぞれのポジションのプロとして1人ひとりが機能すれば、小規模でも、1人のときには実現できなかったような大きな成果を挙げることができるでしょう。
気をつけたいのが、ポジションが被ってしまうこと。特に少人数で行う場合、同じポジションの人がいると役割分担がしづらく、責任の所在という意味でもリスクがあります。
1つのポジションには1人とし、複数人充てる場合も「A分野のライティングはこの人」「B分野のライティングはこの人」というように、領域で分けることをおすすめします。
フリーランスのチーム化の際に必要なツール

フリーランスのチーム化においては、オンラインツールの活用が必須です。
具体的には、
Web会議ツール
チャットツール
時間管理ツール
などを揃えると便利です。
それぞれ無料で使えるものもあるので、まだ使っていない方がいれば、まずは導入してみてください。
Web会議ツール
1つ目は、Web会議ツールです。ここ数年で、オンラインでのコミュニケーションは一般化しました。コロナ禍により、仕事だけでなく、「オンライン飲み会」「オンライン帰省」などプライベートの空間にまで広がりがあったため、いまや「一度も使ったことがない」人の方が少ないかもしれません。ZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなど、いろいろな種類のWeb会議ツールがありますが、少なくとも1つはインストールしておく必要があります。
チャットツール
Web会議をするほどの話題や、ちょっとした報告・確認などの場合、チャットツールが便利です。特に現代は、メールよりもチャットでやりとりする人が増えています。チャットはメールよりもチーム全体に共有しやすいところや、気軽にメッセージを送れるところがメリットです。
時間管理ツール
3つ目は、意外かもしれませんが時間管理ツールです。Web会議ツールやチャットツールは主にコミュニケーションの手段となりますが、時間管理ツールが必要な理由は、それによって業務効率を高められるからです。
フリーランスがチームを組む際、そのプロジェクト以外の活動をしている人も多いでしょう。それぞれのスケジュールがある中でどの時間をプロジェクトにコミットするのかを可視化しておくことは大切です。
クラウド型のカレンダーツールやタイムマネジメントツールを使って、各自のスケジュールとリソースをシェアすることで、ミーティングの時間を設定しやすくなったり、業務を依頼するペースをつかんだりすることができます。
まとめ
フリーランスという働き方が定着する中で、フリーランスがチームを組んで協働するケースも増えてきました。
チームでの活動を円滑に進められるようにするためにも、チーム設計やコミュニケーションツールは事前にチェックしておきましょう。