
note CXO・CDO超会議 イベントレポート
noteが2月22日に開催した「CXO・CDO超会議」のイベントレポートです。
このイベントは、デザイン組織を牽引するCXO・CDOたち色々なデザイナーの悩みに応えていくイベントです。
デザイン業界を牽引するデザイナーが答える若手デザイナーに送るメッセージ、組織像、デザインの定義など幅広い質問についての答えが詰まっています。
以下よりYouTubeにてアーカイブ配信されています。本記事はこちらの動画をもとに記事化しています。
出演者
登壇者
池田 拓司(株式会社くふうカンパニー 執行役)
多摩美術大学卒業。ニフティ株式会社、株式会社はてな、クックパッド株式会社、株式会社ロコガイドを経て、現在は株式会社くふうカンパニー 執行役 / デザインアンドライフ株式会社 代表取締役。
坪田 朋(dely株式会社 UIデザイナー / プロダクトマネージャー)
livedoor、DeNAなどで多くの新規事業立ち上げやUI/UXデザイン領域を専門とするデザイン組織の立ち上げを手掛ける。BCG Digital VenturesにてBCGとユニ・チャームのジョイントベチャーの立ち上げ後、デザインファーム『Basecamp』で起業しスタートアップの事業創出を支援。2019年7月にBasecampをdelyに売却し、クラシルCXOに就任。現在はクラシルの開発責任者。
note https://blog.tsubotax.com/
Twitter https://twitter.com/tsubotax
宇野 雄(note株式会社 CDO)
制作会社やソーシャルゲーム会社勤務の後、ヤフー株式会社へ入社。Yahoo!ニュースやYahoo!検索などのデザイン部長を歴任し、その後クックパッド株式会社でVP of Design/デザイン戦略本部長を務める。2022年2月よりnote株式会社 CDOに就任。東京都デジタルサービスフェローの他、数社でデザイン顧問/フェローも請け負う。著書に『はじめてのUIデザイン(PEAKS)』『フラットデザインで考える 新しいUIデザインのセオリー(技術評論社)』など。
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Twitter https://twitter.com/saladdays
モデレーター
深津 貴之(note株式会社 CXO)
インタラクション・デザイナー。株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。2009年の独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、株式会社Art&Mobile、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。noteのCXOなどを務める。執筆、講演などでも精力的に活動。
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Twitter https://twitter.com/fladdict
(YouTube概要欄より抜粋)
事前に寄せられた質問
①デザイン/デザイナーの定義や範囲について皆さまの考えを伺いたいです
②チームのマネジメントはどうされていますか?
③成果物の精度を高められるフィードバックの工夫を知りたいです
④スタートアップの1人目のデザイナーとして重要視するべき点は何?
⑤CXO・CDOが一般デザイナーと明確に違う点はどこですか?
⑥デザイナーの個としての戦闘力を、最短・最速で向上させるには?
⑦トップダウンでないデザインの進め方に興味があります
⑧職種混合チームでの、定量・定性での目標設計の進め方は?
⑨デザイナー用のキャリアラダーはどのように設計すれば良いでしょう?
QAコーナー
①デザイン/デザイナーの定義や範囲について皆さまの考えを伺いたいです
宇野氏:
デザインと呼びたいものをデザインと呼んでいるが、言語化するならデザインとは「見えているものをデザインする < 認知できないものをデザインする」
具現化のプロセスこそデザイン。そこを牽引するのがデザイナー。
池田氏:
周りのものを見てそれがデザインされていると認識できるものがデザインで、それを受け入れられるのがデザイナー。形にできるところ、作ることができて、それを物語れるところがデザイナー
坪田氏:
デザイナーの数だけ定義がある
デザイナーとして責任をもって顧客のニーズに応えるという規律をきちんと担保している人。最後まで責任をもって自分の仕事を全うできる人は皆デザイナーの資格あると思う。
深津氏:
デザインを言語化すると「場のカオスを最小化する仕組みを作る」こと
予測不能→予測可能にしたり、制御不能→制御可能にしたり、再現不能→再現可能にしたり、このように仕組みやらシステムやらを確立するのがデザインであり、それをするのがデザイナーの仕事
⑧職種混合チームでの、定量・定性での目標設計の進め方は?
坪田氏:
(詳しくは坪田氏のnoteにhttps://blog.tsubotax.com/n/n48174b11)
0→1、1→10、10→100それぞれのフェーズによって違うが、0→1フェーズ定量化は難しい。
なので、チームでミッションを明確化・認識しそれに向かって取り組むことが大切。
まず、チームの目指すべきビジョンを掲げ、型とサービスがどう伸びるかという構造を可視化する、それを誰がどう実行していけば良いのか確認していく
池田氏:
0→1だったら定量化に寄りすぎないほうがよくて、定量よりも先にモノを作った方がいい。
ただ、定量目標を置くことで逆算して考えることは可能。
宇野氏:
何かを達成するときに、この未来はどうなっているのか?最高な形は?そこからブレイクダウンして定量化する数値を出す。
→最高の状態を言語化する。そこに数値は関係ない
深津氏:
本当にいいやつは二つ並べれば明らかにわかると思うので、それで比較する。
ただ、並べてわからないものは定量化する。
④スタートアップの一人目のデザイナーとして重要視すべき点は?
坪田氏:
スタートアップ一人目のデザイナーはデザイン性を求められていない。それよりも事業開発よりの思考が求められる。
デザイナーの稼働は2割で、残り8割は分析とか(ここを担う、カバーすることがスタートアップ1人目のデザイナーに求められる)
池田氏:
自分が入ることでいかに事業を良くしていくかという役割を担う。会社、サービスにコミットできる人であるかどうか
宇野氏:
仕事に集中するだけなく、事業の全体を俯瞰してみる力を求められる
深津氏:
最高傑作ができるわけではない
・100回でも壊して作り直すの繰り返しがデザイン
・デザインする基準を決める
どこを捨てて何に集中するのか?
スタートアップの一人目のデザイナーは、作って壊しまくるっていう精神でやることが大切(思ったほど怖がらずにやってみてもいい)
⑤CXO・CDOが一般デザイナーと明確に違う点はどこですか?
坪田氏:
池田さんに教えてもらった言葉「CXO・CDOは経営と現場を接着する役割」そのスイッチングが経営会議において求められ現場では具体案を落とすことが求められる。
成功する人→経営者と現場の切り替えが上手な人
深津氏:
違う職種の言葉で喋ったり翻訳したりするのが基本的なスキルとして求められている
ヤン・ウェンリータイプか赤い彗星のシャータイプか
陣の後ろで命令するタイプor現場の第一線で引っ張るタイプに分かれる
宇野氏:
まだ生まれて間もない職種。その人数だけその形がある。
デザイナーの上位職ではない(深津氏:エンジニアがやってもうまくいくのでは?)
広告の業界でいうクリエイティヴディレクター
池田氏:
同じ経営陣の人たちが何を気にしているか、何が好きかをどういう言語で話しているかを知ろうとする、自分のモノに吸収しようと意識する点
坪田氏:
この業種は楽しい。意思決定をしてものを作ることができる、いいデザインを作るためのチームを組成する人
⑨デザイナー用のキャリアラダーはどのように設計すれば良いでしょう?
坪田氏:
・振り返りを書けるように
・Figmaのコンポーネント設計を覚えて
・Notionのデータベース設計をできるように
この三つができれば構造化・デザイン・振り返りもできる。これを意識して設計していけばいい。
深津氏:
一基一貫して一つのサービスを自分で提供する経験を一回やってみることも大切(サービス全体を考える視点が身に付く)
宇野氏:
設計せずともどんな形にもなっていく
真面目な方法というよりも、やりたいことをやっていく精神で
それが時代にフィットすればなお良し
これからの時代で50点60点をとりにいくのはつまらない
池田氏:
最近は違う職種の人と関わる機会が増えたり自分も違う職種をやる機会が増えた→調整スキルに時間を取られて突起した技能をつけにくい。
宇野氏:
組織の中でオンリーワンになれるものを探していく。それを見極める。
これはデザインに限った話ではない、
例えば 深津さんの強み→ワンマンアーミー制、なるべく早く仕事ができる
坪田氏:
キャリアラダーのターニングポイント→話し相手がデザイナーから経営者に変わったとき
#教えてデザイン(リアルタイムでの質問)
Q. CXO・CDOとしての失敗談
坪田氏:
作ったものを提供した後作り直さなきゃいけないとき。最近は細かい段階でレビュー&修正することが正義
深津氏:
レビューし損ねたプロジェクトに、軌道修正できなくなった段階で遭遇したとき
段階を最小限に、サイクルを早く
宇野氏:
ちゃんとやりたいって言ってくれた人を信用せずに断ってしまったとき
自分で測れない尺度なら測る必要はない。失敗したら一緒に謝る姿勢で
Q. みなさんが今22歳なら最初にどのようなキャリアを選ぶか?
宇野氏:
エンジニアになってるかも
深津氏:
比較的言語化のコストが低い開発フル一式をやりたい
自分で商売始める(今の時代はなんでもできる)
池田氏、坪田氏:
スタートアップを最初から選ぶ。スタートアップは楽しい。若いのでなんでも挑戦できる
宇野氏:
若いからこそ、リスクが低いしバンバン挑戦していける。人生が豊かになる
坪田氏:
ファイナンスから入るのがいい
デザイン×プロダクトマネジメントの組み合わせが強いのでそこを鍛えたい
Q. デザインに注力していない会社で、デザインの重要性を経営者に理解してもらうにはどんな手段があるのか?
全員:
Best Solution→転職
宇野氏:
目的がどうか?会社を変えたい、デザイナーとして名を挙げたいとか思っているなら話は変わってくる
坪田氏:
働きかけをして変わるかどうか
努力してダメだったら転職
深津氏:
「注力していない」の定義を見極めることが大切(注力しようとしているのか?そもそもする気がないのか?)
池田氏:
外部の人間の視点を取り入れることも大切
宇野氏:
ゴールは経営者に理解してもらったその先にある
経営者の言葉でデザインの価値を伝えることが大切
坪田氏:
辞める前に言ってみる。捨て身で。ダメなら転職すればいい。
Q.皆さん各々好きなプロダクトがあると思うのですが、ここのデザインが好き、天才!っていう話を聞きたいです
A.
深津氏:
ラジオガーデンというアプリ
宇野氏:
ソニーが作っているトイオっていうロボット(プログラミングパッケージの設計が特に良し)
池田氏:
GoPro(Youtubeの影響で)
坪田氏:
Hondaの125ccエンジン