
デザインのフィードバック方法完全ガイド|発注者・クライアント向けコミュニケーション術
「このデザイン、どうフィードバックすればいいんだろう…」「デザイナーに的確な指示を出せているか不安…」
Webデザインの発注やデザインレビューで、こんな悩みを抱えていませんか?デザイナーをしている私でさえ、正直フィードバックは難しいと感じています。
デザイナー職ではない方からすると、なおさら難しいと思います。確固たる正解があるものではないし、「センスが悪いと思われたらどうしよう…」といった不安から、どんな言葉を選べばいいのか、どう伝えればいいのか、悩みは尽きないものです。
デザイン会社の株式会社caroaをやっているハグリです。今回は、ちょっとしたコミュニケーションの意識で、デザインの質が向上する方法について、具体的にお伝えしていきたいと思います。
デザインの幅はとても広いので、今回はカロアで多く手がけているWebサイト制作のプロジェクトを例に解説していきます。
コミュニケーションが、プロジェクトの運命を決める
デザインの現場で特に実感するのは、コミュニケーションの質がデザインの質に直結するということです。
分かりやすいデザインのアウトプットと比べて、コミュニケーションの部分ってあまり目立たないし、まぁ普通にできているでしょって蔑ろにされがちです。
ただ、何か問題が起こった場合の8割はコミュニケーションエラーだと考えているので、プロジェクトの命運を握ると言っても過言ではないと考えています。
「よいデザイン」は「よいコミュニケーション」からしか生まれない
いきなり強めな言い方をしていますが、結論だと思っています。
世の中にはみんなが「いいね!」と思うデザインのプロジェクト以上に「うーん…」となってしまったプロジェクトが実は存在しています。
その違いは「3者間のコミュニケーション」が適切に取れているかどうかにあります。

Webサイトは「集客」「採用」「ブランディング」のどれかの目的を達成するために、制作します。そして登場人物としては「発信者」「制作者」「受信者」の3者が関わります。
ビジネスオーナーなど発信者が受信者に対して伝えたいことを、デザイナーのような制作者が汲み取って形にして、最終的に受信者に伝えます。
ユーザーインタビューをしない限り制作者や発信者が受信者と直接話すわけでは無いですが、Webサイトという媒体を通して会話をします。
なので、この3者間のコミュニケーションが円滑に進んでいる状態が「よいデザインになった」と言えます。
発注者とデザイナーのコミュニケーションがプロジェクトを左右する
「発信者⇆制作者」のコミュニケーションがうまくいっていないと、中身がチグハグなコンテンツになったり、制作者(デザイナー)の本来のポテンシャルが発揮できなくなったりして、中途半端なアウトプットになってしまいます。
ユーザー目線を見失わないために
他にも、「受信者⇆発信者」のコミュニケーションがうまくいっていないパターンもあります。
これは発信者が一方的に発信しているだけの状態を指していて、受信者側の知りたいことやニーズを考えていないような状況です。
その場合は、一方的に伝えるだけでユーザー(採用なら候補者、サービスサイトなら見込み顧客など)目線ではないサイトになってしまいます。
3者間の全てで適切なコミュニケーションが取れている必要があるのですが、この中でもコントロールがしやすくてすぐに改善しやすい「発信者⇆制作者」の部分がちょっと良くなる内容を紹介します。
社内でデザイナーに依頼する人
デザイン会社や制作会社とかに依頼する発注者の方
デザイナー間でレビューする人
こんな方の参考になれると嬉しいです。
思わずデザイナーがちょっと元気になる言葉
もしデザイナーへの言葉の掛け方に迷ったらぜひ意識してもらえると、ちょっとだけ元気になる言葉の変換を紹介します。
「違和感ありません。問題ないです。」
デザイナーからフィードバックを求められた時に言っていませんか?デザイナー側の聞き方次第な点もありますが、この言葉は少し変換するといい感じになります。
言う側としては、ちゃんと評価しているからこそ言える言葉だと思いますが、デザイナー側としては受け取り方が変わってきます。
意図が伝わっているのか不安になる…
具体的な評価点が見えないので、次のヒントが得られない…
違和感ないのはいいんだけど、これは魅力的かを知りたい…
一方で、こんな言い方に変えてみます。
「めちゃくちゃ良いですね!特にヘッダーのアニメーションの使い方が素晴らしいです。ブランドの世界観がしっかり表現できていると思います!」
この言葉には3つの嬉しいポイントが含まれています。
「めちゃくちゃ良い」という率直な感想
「ヘッダーのアニメーション」という具体的な指摘
「ブランドの世界観」という意図への理解
何だか小難しい言い方していますがシンプルに「具体的に感想を言ってくれたら嬉しい」ってことです。これはデザイナーに関わらずに嬉しいんじゃ無いかなと思います。
デザイナーっていい感じにしてくれるドラえもんに見えます?
デザイナーってどう見えていますか?実は、内心結構不安なものです。
デザインするうえで色々調べたり、試行錯誤しながら最適なものを提案してもちろん自信もって提案はしています。
しかし*、デザインは正解が無いもの*。人、環境、時代によって良いとされるこものと、いまいちとされるものが一瞬にして変わるものです。
そのため「人にちゃんと評価されることが、一つの正解」として受け取ることができます、そのデザインがユーザー目線かとか、課題を解決しているかとか色々な視点はもちろんありますが、その前に認めることが大切です。
率直に「良いです!」とだけでも言ってもらえると、きっと嬉しくていっぱい頑張っちゃうと思います。
なので、小さい変換ですが、デザイナーって実は不安に思っているから、認めて評価しているんだ!という意識をしてみるといいかもしれないです。
「期待以上」という言葉の力
実は「期待通りのデザインでした」という言葉、デザイナーの中で少し複雑な気持ちを生むこともあります。
こう聞くとまためんどくさいなって思うかもしれないですが、デザインって人がイメージしているものを具現化することだけを目指していないんです。
デザインは目に見えていないものを可視化して価値を創造することなので、本来は期待を超えていきたいものです。
本当に想像していたものがそのままであれば、デザイナーの力不足ではありますが、少しでも思っていたより良かった場合は、「期待以上」「想像以上」「新しい発見があった」みたいな言い方をするといいかもしれないです。
フィードバックは、対話を楽しむこと
「そんな感情的なフィードバックって、大丈夫なの?」そんな声が聞こえてきそうです。
でも、感情のこもったフィードバックこそ、プロジェクトを成功に導くと感じています。だって、デザインって結局のところ、人の感情に働きかけるものだから。
楽しくないと楽しいものは作れない。
ただし、ここで言う「感情的」は「激情的」という意味ではありません。むしろ、自分の正直な感想を、建設的に伝えるということです。
よいコミュニケーションが、よいデザインを育てる
最近言われていいなと思った変換をまとめておくので、もし機会があれば思い出してみてください。
「違和感ないです」→「〇〇の演出が効果的ですね!」
「まあ良いんじゃない」→「〇〇がお客様の目を引きそうです!」
「これで問題ないです」→「この方向性で思い切り攻めていきましょう!」
そしてデザイナーに関わらずかもしれないですが、本記事の文脈的にデザイナーに対してのフィードバックのポイントは以下の3点です!
具体的に:好きなところ、改善点を明確に
素直に:正直な感想を建設的に
前向きに:デザインの意図を理解し、共有する